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イバラッキーのK市に在住する「オカリナと山とカメラ」が好きな異邦人の他愛ない日々のあれこれを綴ります♪


by ocarina-t
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稜線/風と雲①・・・(181)

〔奥穂高岳=北アルプス〕  

  井上靖の長編小説「氷壁」を読んで山に憧れ、幾度となく北アルプスや南アルプスを歩きました。今までのその山行きを、ブログに掲載したいと思います。今回は、奥穂高岳の登山を紹介します。上高地まではマイカー禁止となりバスで釜トンネルを過ぎ、河童橋のあるバスターミナルまで行き、そこから奥穂高岳へ向かいます。奥穂高岳は、富士山、南アルプスの北岳に次ぐ日本第三位の標高を持つ山です。

稜線/風と雲①・・・(181)_c0122445_17325214.jpg真夏でも手の切れるような梓川の流れに架かる河童橋から穂高連峰を望む。ここから約50分で明神池に着きます。観光客はここまでは来ますが、この先の徳沢までは更に1時間かかります。井上靖はここ徳沢園で「氷壁」を書きました。更に屏風岩をまいて涸沢小屋まで4時間がかかります。計6時間の山歩きとなります。登山靴に重いリュックを背負いひたすら歩き続けます。でもこの空気が美味く、梓川の流れの音もなんとも良い心地である。異邦人は今まで何時も単独登頂だ。煩わしさが無く一人気ままに歩くのが好きなんです。

稜線/風と雲①・・・(181)_c0122445_17385776.jpg涸沢小屋が後ろに見えます。ここまでは何度も来た事もあるので、自分の家の庭のように岩や木まで覚えています。朝9時河童橋を後にして、午後3時涸沢に到着。山は陽が暮れるのが早い。本日は、ここ涸沢小屋に泊まる。

稜線/風と雲①・・・(181)_c0122445_17391876.jpg涸沢小屋にリュックを置き、宿泊の手続きをして涸沢カールを散策。お花畑で涸沢カールで出会った山友達に写真を撮ってもらう。写真中央の尖った山は涸沢槍だ。明日はその左側を通って奥穂高岳へ。

稜線/風と雲①・・・(181)_c0122445_17403521.jpg翌朝6時、涸沢小屋を出発。涸沢カールを横切り、ザイテングラードを通って奥穂高岳へ。その手前にある奥穂高山荘までは急勾配で約700メートルの標高差だ。万年雪と氷河が残るカール、その名残となって岩が盛り上がって出来たのが、ザイテングラートだ。ザイテングラートの他はガレ場で登攀しづらい。雷鳥もお出迎え、ここから奥穂高岳までは約3時間の山登りだ。

稜線/風と雲①・・・(181)_c0122445_17405178.jpgひたすら急登の連続だ。標高も2500メートルを越え息切れもする。汗を掻くのだが少し立ち止まると、氷河の風がヒンヤリと身体を巻いて寒さが襲い掛かる。真夏と言うのに、この北アルプスの朝や夕方は真冬と同じだ。寒さがエネルギーを消耗させる。そんな時、三峰フェイスの前穂高岳をバックに高山植物が風に揺れながら微笑むようで、疲れを癒してくれる。

稜線/風と雲①・・・(181)_c0122445_1741621.jpg奥穂高山荘に8時過ぎに着き、リュックを山荘に預け奥穂高岳を目指す。ここからは岩場の連続で慎重に登頂する。ガスが急にかかり奥穂高山荘も雲間に隠れそう。その向うに涸沢岳と右側には北穂高岳のピークが見える。はしごや鎖場の登攀で気は抜けない状況だ。今まで、夏山での異邦人の山行きの経験では、3000メートルの山は午前中が勝負です。午後になると天候が妖しくなりカミナリや突風が吹き荒れる事が多いからだ。でも慎重に高度をアルバイトする。


稜線/風と雲①・・・(181)_c0122445_17411998.jpg奥穂高岳山頂だ。異邦人は奥穂高山頂はこれで3度目となります。晴れていれば北アルプスは一望のもと、南アルプスや富士山まで見える。直ぐ奥にはジャンダルムがあり、その左手に前穂高岳が聳えている。見渡す山々は3000メートルの嶺だ。風が心地よく雲は山塊を見え隠れさせている。奥穂高岳の山頂には3190メートルの標示盤と、その脇には石で2メートルほど積み上げその上に祠が祭ってある。何度登ってもその都度感無量の思いです。

稜線/風と雲①・・・(181)_c0122445_17413220.jpg登頂後は自己満足感でゆっくり下るとともに、山への感謝と喜びを味わい、北アルプスの山々を見渡すと何とも言えない晴れやかな気持ちが沸き起こります。小さな事でくよくよしている自分の愚かさを顧みます。山はそんな自分を癒し、一回り大きくしてくれそうな気がします。そんな山が好きな異邦人です。

     《夏雲に 黙して山は 見え隠れ》
          〔なつぐもに もくしてやまは みえかくれ〕
by ocarina-t | 2007-11-05 08:21 | 山行